2012年7月27日金曜日

犯罪の件数

 現在の刑法犯の認知件数は227万件,検挙件数が118万件で,検挙率は52.1%です(平成22年)。
(平成23年版犯罪白書より転載)


 ただ,法社会学的には,暗数の存在,認知件数の変動の理由,犯罪の種類・手口等を分析する必要があり,統計の推移だけで,治安が悪化したかどうかは判断できません。


捜査は,犯罪があると思料するときに,開始されますが(刑訴189条2項),捜査が開始される手がかりのことを「捜査の端緒」といいます。捜査の端緒の約9割が,被害者等による届出です。残りの1割が,職務質問,告訴,自首などで,そのうち職務質問が圧倒的に多いです。

 現行犯逮捕も捜査の端緒のひとつで,刑事訴訟法上,警察官でなくとも,誰でも現行犯逮捕をすることができます。
【刑事訴訟法 213条】
現行犯人は,何人でも,逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

 私も,数年前に,駅のエスカレーターで女子高生のスカートの中を盗撮していた男を,現行犯逮捕したことがあります。

私人が現行犯人を逮捕したときは,直ちに警察官等に,犯人を引き渡さなければなりません。
【刑事訴訟法 214条】
検察官,検察事務官及び司法警察職員以外の者は,現行犯人を逮捕したときは,直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

 ただ,テレビで,万引きGメンが逮捕した後,店長が説教だけをして帰してしまうシーンを見ることがあります。「警察には言わないで下さい」と泣いて懇願するのが,よくあるパターンです。
私人による現行犯逮捕後の釈放の可否という問題です。刑訴214条が禁止しているのは留置の継続であって釈放を禁止しているとまでは解されないこと,逮捕の理由や必要性がないことが発覚した場合にまで引渡しを義務付ける必要はないことなどを理由に肯定する説もありますが,人身の拘束について私人に処分権を認めるのは相当でないこと,引渡しを義務的なものとし,私人による現行犯逮捕について捜査機関による審査を受けさせるようにしないと逮捕権の濫用をまねくおそれがあることなどを理由に,否定する説が多数説とされています。

 私が現行犯逮捕をしたときも,警察に引き渡しました。

弁護士 茨木