東京新聞は,東証一部上場の売り上げ上位100社について,いわゆる「36協定」の届出資料を情報公開により入手したところ,7割の企業が,過労死ラインである80時間以上の残業を認めていることが分かったと報じています。
経団連側は「協定の上限時間が長くても実労働時間はもっと短い」,「過労死は重要な問題だが,法律で残業時間の上限を定めるなど労働規制を強めれば,企業はますます活力を失い,成長は望めなくなる」と話しています。
それに対して,西谷敏教授は,「ゆゆしき事態だ」,「法律そのものに限度時間を定めるべきだ。例えば欧州連合(EU)では,残業を含めて週四十八時間が限度となっている。」とし,法的規制の必要性を強調しています。
労働時間のあり方については,平成16年に,「仕事と生活の調和に関する検討会議」が,以下のような提言をしています。
「個々の働く者が,いわゆる拘束度の高い正社員か拘束度の限定的な非正社員かといった二者択一をいたずらに迫られる現状を改め,すべての者が,育児・家族介護,自己啓発,地域活動への参加などの仕事以外の活動状況等に応じて,希望する生活時間を確保しつつ,生涯を通じて納得した働き方を選択できるようにするためには,現在の労働時間の在り方を見直す必要がある。」
「ワーク・ライフ・バランス」といわれるものです。
この考え方は,労働契約法にも盛り込まれ,「労働契約は,労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し,又は変更すべきものとする」と,3条3項に規定されています。弁護士 茨木